誕生日に仕事をするのは嫌いである。
自営業、保証もなければ休みもない。
ちっちゃな商店。
息子の誕生日と自分の誕生日とクリスマスは仕事をしない(きっぱり)。
「あら、ちょうどいいじゃない」
とMさんのスタッフたちとのバーベキュー会に今回参加をさせていただいた。
パルテノンのオープン当初、素人な私に、やるふり、遅刻にずる休みなスタッフ、今思うとずいぶんよい経験をさせていただと思う。
この人たちと一緒にやるか・・・どうするか・・・。
いなければ、実は困る。
「今いないと困るから、こっちが慣れたら切ればいい」
そんなことも言われた。
しかし、そのアドバイスも聞かず、結局は一人の選択をしてしまった。
子供はまだ小さく、シッターをつけていても急にシッターもこれなくなることもしばしば。
看板の明かりは付いていても鍵が閉まっていたというのは(今でも時々あるが 苦笑)日常のことであった。
ある日信号待ちをしている私の目におしゃれな大人の雰囲気漂う男女がパルテノンのドアをあけようとしていました。
あれっと開かないドアに店の中を覗く男性。
それを信号の先で見ていた私、急いで鍵を開けたいの気持ちはあるのだが・・・。
「今日は一組のお客さまを逃がしてしまったな・・・」 
そう思いながら子供と会い、また店に戻り仕事を始めた。
それから、少し時間がたったころ、お店のドアが開いた。
席を見渡し、女性が厨房から一番離れた席を選び 。
「さっき来たら閉まってたけど」
男性が文句ではない口調で言った。
いくつかの返答と共に女性は次第に怪訝そうな感じである。
山手が似合う、そんな感じの女性であった。
「どんなお店かと入ってみたけど」
そんな声が聞こえてきそうな重い空気。
もう二度と来ないそんな感じであった。
半ば、あきらめて働いていた私がドアを開ける音に気がつき振り向くと
「こんばんはー入れます?」
と流暢な日本語にきれいなグリーンな目の男性が立っていた。
後ろにはきれいな金髪の女性。
その後ろにはスキンヘッドの革ジャンのニーちゃんが・・・数え切れない・・・・。
「えっと18人くらいかな、もっといるかなぁ・・いち、にぃ」
との言葉。
当時はテーブルが4つあったが(現在は3つ)一組いるので入れない。
「あーすみません、ちょっと・・・入れない・・・」
それでも、立ち往生する外国人の方々。
すると、座っていたカップルの方が
「私たち帰るからチェックして」
と言った。
当初いたスタッフは全員やめてもらったばかり。
私は一人。
「あのう、私・・・無理です・・できない・・まだここにいてください」
そっとカップルの横にいってつぶやいた。
へっと言わんばかりにガックとずっこけて女性は大きなおめめをぱちくりした。
今まで怪訝そうなカップルが
「いや、やりなよ18人だよ」
「そうよ、私たちがどけば入れるでしょ」
なんだか一生懸命説得をしてくれる。
「いやぁ・・・無理・・できないです・・お願いです・・・一人にしないで下さい・・・」
そう哀願した。
チェックをしてと言っている初お客様の声を聞かずにである。(今、思い出すと笑ってしまっている自分が・・・)
厨房に戻ると女性が厨房まで来て
「これで足りるよね、また来るから今日は頑張ってやりなって」
「えーぇ・・でも・・無理・・・できな・・・い・・」
もじもじとしながら横を向いた。
半笑いしながらその女性は
「やりなって、お金になるんだから、ほら」
と私のエプロンにお金をねじ入れた。
「また、近いうちにくるから」
と言い。
やる気のない私を尻目に
「どうぞ、どうぞ」
と二人で外国人の方々を席に通し
「またね」
と相槌を打ち去っていた。
「あら、ちょうどいいじゃん」
と私の誕生日を今年もしてくれたMさんである。
ギリシャ家庭料理のお店 パルテノン http://parthenon.sakura.ne.jp/
最近のコメント